Diary

おくたま日記

2019年04月19日

奥多摩暮らしへの道 【第2夜:家を直す編】

僕がおくたま暮らしを始めたのが今からおよそ4年前。幸運にも譲渡していただいた空家へ、引っ越しの準備を始めました。気持ち的にはすぐにでも……と思っていましたが、手続き以外にもやるべきことがありました。今回は、家の片づけと補修についてお話ししたいと思います。

残置家財の処分

まずは、残置されていた古い家財を片付けることから始めました。家の中には前の住人の家具が残されており、不要なタンスなどを処分しなければなりません。作業を始めると早速問題が発生しました。まだ奥多摩に転入していないため(住所がないため)、地域のクリーンセンターに粗大ごみとして持ち込むことができなかったのです。やむを得ず、当時の住所のリサイクルセンターに持ち込むことにしました。

と言っても、真面目にやってると往復の時間だけでもバカバカしく、無駄が多すぎるため、家の掃除や草むしりなどをしに来て、作業を終えたら車に家具を満載して帰るということを繰り返しました。そうやって7割くらいの家具を処分し、とりあえずスペースを作って、残りは転居後に片付けることにしました。

元は家族で暮らしていた家でしょうから仕方がないのですが、大変な量の家具が置かれていました。多分これは空家あるあるのひとつだと思います。家を空ける側にとってはわざわざ荷物を整理しておく必要はないのですから。もっとも、中には使える家具とか売れるものもあったりして、考えようによってはありがたい場合もあるかも知れません。実際、我が家でも食器棚は処分せずに使っています。冷蔵庫も、後に買い替えるまで2年以上使いました。

下水道とトイレ、ほぼ必要な工事

奥多摩町で公共下水道が整備され始めたのは平成10年。道路の下を通ってる公共桝までは、各家庭で速やかに接続、管理しなければならないことになっていますが、空家の場合は除外されています。

したがって、長らく使われていなかった空家は、今でも下水が接続されていないと思った方がいいでしょう。公共桝までは各家庭で接続するということは、その費用も各家庭での負担となります。古い空家に住み始める時には、下水の接続工事は避けて通れないところです。

トイレも、古い家なら汲み取り式の場合がほとんどでしょうから、水洗への切り替え工事が必須です。いや、必須ではないですけどね。

我が家も例に漏れず、二つの工事を業者に依頼しました。たしか30万円くらいかかったかと記憶してますが、家一軒手に入ると思えば、まぁ安いもんでしょう。

家を直すスキルなんて無かった

さて、そうやって家の中が片付いてくると、色々と痛んでいるところが目についてきました。もともと分かっていたものまで合わせると、まず、一番奥の部屋の畳が腐っている。それから、階段下の物入。中身を全て出してみたら、床が腐っていました。他にも、押し入れ内の土壁が一部崩れていたり、窓ガラスが割れていたり。

とにかく色々なところを直さなきゃならないんですが、実は、というか当然ながら、床だの壁だのを補修した経験なんかありません。やり方も知りません。インターネットで床、壁の構造を調べて、図面なんか書けないので方眼ノートにいい加減な図を描き、カインズホームで材料を買ってどうにかこうにかやってみました。初めの内は小さなところから。すごく時間がかかったし、大変だったけど、抜群に面白い工作でした。

階段下物置の床、押入れの壁

初めに取り組んだのが階段下物置の床張り替えでした。

 

最初に腐った床板を取り除き、根太が無事なことを確認。

 

採寸して材料を書き出して、カインズホームへ行って買い出しして……。床板には9mmの構造用合板を使用しました。合板を床の形に切り出して、釘でコツコツ打ち付けて、ぐるりに隙間ができちゃったのでシリコンシーリングで塞いでごまかしました。まぁ、初めてにしては上出来。

次は押入れの壁を直しました。直した、と言っても、崩れた土壁を直すのは大変そうだったので、土壁を覆うように羽目板を張ることにしました。押し入れの中がいい香りになって、これもそこそこいい感じ。

とりあえず、この時の作業は、住み始められる状態を作るためのものだったので、割れてるガラスはベニヤ板をガムテープで張って塞いで気にしない事にして、腐った畳は、見ないふりをして上から人工芝を敷きました。

そんな風にかなりいい加減なことをしてるんですが、ひとまずどうにかなるし、やればやるほど腕が上がっていくのは確かです。そして、人によると思いますが、こういう作業ってすごく楽しい。

楽しみが増えた

こういう空家っていうのは、不動産屋が管理してる物件ではないので、メンテナンスがかなり必要になってきます。結局のところ、それをどう捉えるか、そこが肝要です。直さなきゃ住めない不便な物件だと思うのか、直すところがたくさんある楽しい家だと思うのか。

少なくとも僕は、完璧なものを与えられる生活より、こっちの方が断然面白いと感じています。だってね、日常生活に考える余地があるんだもの。タスクをこなしてくだけじゃない。考えて、工夫して、そして何でも好きなようにやっていい。うまくいったら嬉しい。失敗したら、もちろん自分の責任として受け入れる。でも、どちらにしても腕は上がる。

暮らしていくっていうのは、元来そういうことなんじゃないのかなぁ。

Writer

この記事を書いた人

スー

2015年、なんとな~く奥多摩に移住。現在、妻の営む整体サロンの片隅で、電動バイクレンタルショップをこっそり営業中。少年ジャンプと科捜研の女がイキガイのシガナイ中年。

Recommend

おすすめの記事

Keyword

キーワードで記事を探す