2019年08月30日
狩猟がしたくて奥多摩に来たけど、それを生業にするのは難しいぞ!
ちゃっす! オクタマニアっす!!
先日おくたま勝手に広報室にこんな質問が届きました。
「女ですが親戚が狩猟をしていたのを見ていて、狩猟に興味があるのですが、オクタマニアさんはどうやって生計を立てているのですか?」(byどきんちゃん)
まさかのピンポイント指名! というわけで記事にして回答します!
オクタマニアは狩猟で生計を立てているの?
まず率直にお答えしますが、狩猟で生計は立てていません。
狩猟で生計は立てていません。
狩猟で生計は立てていません!
今、僕は趣味で狩猟をしています。生計は地域おこし協力隊の(少ない)お給料で立てています。そこから数万の狩猟税を毎年払って、弾を買って、射撃場で練習して、獲れるか分からん獲物を探しに出かけてをしているわけで、むしろマイナスでは?
なので「狩猟」で生計を立てるのは99.99%ムリじゃないかと。
ここで「狩猟」と強調したのは、野生動物を狩ってお金を手に入れる行為としては有害鳥獣駆除という方法もあり、これは「駆除」であって「狩猟」とは一線を画すものだと考えるからです。
今の日本において「駆除」ではなく「狩猟」で生計を立てているのは静岡の片桐さんくらいなもんじゃないかなあ。
片桐さんは自分で獲って自分で捌いて自分の店で提供していて、僕はこれを「狩猟で生計を立てている」としています。もしかしたら片桐さんも有害鳥獣駆除をやってるのかもしれませんが。
狩猟はお金を払って行う「趣味」。有害はお金を貰って行う「仕事」。そういう意味で、狩猟を生業にするのは難しいと回答しました。
なぜ狩猟を生業にするのが難しいのか
狩猟でお金を得るのはすごく大変です。狩猟で稼ぐというとジビエとしての食肉活用が真っ先に思いつきますが、そのためには保健所で許認可を得た食肉処理施設でガイドラインに沿って解体する必要があります。決まった処理施設以外で捌いた肉を売ると罰せられ、狩猟免状も取り上げられます。
ただ食肉処理施設は個人で持つにはちとキツい。ジビエ黎明期には「200万円でガレージを改装して食肉処理施設にした」なんて話もありましたが、今は保健所もジビエに関する知識を増やし、かつ色んな利権が絡んでいるので、そんな値段ではおそらく無理でしょう。
食肉以外だと毛皮なんかもありますが、毛皮は「なめし」に技術と時間が必要です。そもそも毛皮そのものは需要が低く、革の加工品になって初めて価値が上がりますが、やはりそこにも技術が必要になります。骨、角、牙なども同様です。
なにより狩猟は期間が定められていて、概ね11月~2月までの3ヶ月間しかありません! 獲物はポコポコ獲れるものではないですし、捕獲率を上げようと仲間を増やせば成果を分け合うことになります。それらが狩猟を生業にするのは難しい理由です。
それ以外だと、狩猟同行ツアーとか狩猟をコンテンツにしたブログ広告収入とかYouTube広告収入を得ても「狩猟を生業にしている」と言えそうですね。
ウルトラCの離れ業として、獲った鳥獣の生体を売るというのもありますね。研究機関とかは高額でも欲しがってるみたいですよ。狩猟鳥獣の生体を売るのは確か禁止されていないはず。知らんけど。
有害鳥獣駆除という手段もある
一方で、有害鳥獣駆除を生業にしている人はそこそこいます。岐阜の瀬戸さんなんかはそれで家建てたようなもんですからね、本物で天才のひとりです。
駆除の場合は獣を狩ること自体が仕事なので、獲った時点でお金になります。報酬は都道府県で異なりますが、指定された有害鳥獣、例えば鹿なら1頭につき5千~2万円の報奨金が県から貰えます。
有害鳥獣の被害が大きいところでは市から独自に報奨金が出たりもします。瀬戸さんの地域では鹿1頭が3万円になるとかならないとか。それを年間100頭近くをひとりで獲ってるんだから、それだけで年商(?)300万円ですよ。
日当で報奨金が出る地域もあります。有害鳥獣を行う会社に勤めて毎月のお給料をもらうこともできます。なので場合によっては獲らなくてもお金になります。
さらに有害鳥獣駆除が狩猟と異なるのは、ほとんどの地域で年間を通して行えること。また鳥獣保護区などの「狩猟」ができない区画でも行えたりもします!
ただ年間の捕獲頭数が決まっており、その数を獲りきるとその年は終わりです。捕獲頭数に達することは滅多にありませんが、決まったパイを食い合う形にはなりますね。
とはいえ、有害鳥獣駆除は狩猟免許を獲ったからといって明日からできるものではありません。獲ることが仕事である以上、それなりの腕や知識が求められ、様々な事情も絡んできます。駆除の担い手が少なく「やってくれるなら誰でもOK」という地域はあるようですが。
あとはその地域の猟友会に馴染めるか、これがめっちゃ重要です。銃を持って行動するわけですから信頼関係が重要です。
銃だけでなく罠も無関係ではありません。そこに他の猟師が猟犬をかけるかも知れませんし、お互いを思いやることが肝心です。
何かのはずみで逆恨みされて撃たれないとも限りません。撃った人は捕まり裁かれますが、その時には撃たれた人は死んでいるかもしれません。
俗にいうナワバリ――自分の土地でもないのに狩猟行為の占有権を主張する――もそういう面が強いです。
罠にデカい獲物がかかったとき、やっぱり銃があると楽ですし、そういう時頼れる信頼関係は大事!
「罠シェアリング」のすすめ
ここまでは「野生動物を狩り、お金を手に入れる方法」を紹介しましたが、ここからは僕の行っている活動について紹介させてください。
それは「罠シェアリング」です。罠シェアは狩猟をする集まりで、猟友会とは全く異なります。サークルや同好会だと思ってください。
ジビエブームが広がり、それに伴い狩猟が注目されるようになり、狩猟免許を獲る人が急増しています。しかし狩猟界隈というのは非常にクローズドで、実際に狩猟をする人は多くありません。
猟友会に入ると、良いタツ(=よく獲物が来るところ)は先輩方が抑え、新入りは「〇〇のらへんまで」とよく分かんない場所を口頭で指示され延々遠くまで歩かされます。そしてタツを間違えると死ぬほど叱られます。的を外すとアホほど叱られます。
あくまでも傾向の話で、どこの猟友会も必ずそうというわけではありませんが、良いタツに着けるのはいったい何年後になることか……。
ではひとりで始めるのはどうかというと、獲り方も、山の歩き方も、獲物のいそうな場所も、何も知らないまま始めても早々獲れはしません。獲れないまま猟期が終われば数万円の狩猟税などはパアですね。獲れたとしても、50kgとかの獲物を運んで捌いて食べきれるだろうか……。
そうした人達に向け狩猟の裾野を広げるのが罠シェアリングの活動です。そこには上下関係がなく、お互いの持てる知識や技術を交換し、得た獲物は皆で分け合い、和気藹々と調理し、美味しくいただきます。
免許を持っていない人でも、狩猟こそできませんが、同行して獲物を解体したり、レストランでも食べられない新鮮なジビエ料理をたらふく食べたり、有意義な体験になると思います。
罠シェアリングとは謳っていますが、スタッフはもれなく銃の所持者で射撃練習や巻き狩りなんかもします。
僕の所属する東京罠シェアリングでは、2019-2020のメンバー募集を始めました!是非説明会に来てください!
最後は宣伝みたいになってしまいましたが、オクタマニアからは以上です!
オヒ―――――――――――!!!!
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