Diary

おくたま日記

2019年05月13日

奥多摩買い物事情【前編:通勤してれば大体オッケー】

田舎暮らしはいいものだ。自然が豊かで、心が休まる。都会のように情報過多であくせくする必要がないからだろう。「何もない」ことが田舎の最大の長所だと思う。

しかし裏を返せば、それは田舎暮らしをためらわせる最大のハードルでもある。何もないということは、お店もないということ。そう、買い物が不便なのだ!

奥多摩で暮らし始めてから3年以上のあいだ、僕は車で八王子まで通勤していた。その頃の生活は奥多摩の外に出ることが多く、買い物が不便に感じることは少なかったのだが……。

ということで今回は、八王子に通勤していた頃の買い物事情についてお話ししようと思う。

そもそも奥多摩ってスーパーとかあるの?

奥多摩はこんなにも田舎なのだ

まずはじめに、奥多摩にはどんな商店があるのかを町内の駅周辺ごとに紹介しておこう。なお、あくまでも日常的な買い物をするための店の話なので、飲食店やみやげ物店は省かせていただく。

川井駅

町内でもっとも東側、つまり都心側に位置する川井駅だが、その近辺には原島商店という酒屋が1軒あるのみだ。近辺といっても駅からおよそ2km離れている。

古里駅

奥多摩町で唯一の24時間営業コンビニであるセブンイレブンが駅前にある。大変貴重な存在だ。その3軒先にはJAがあり、地場産の野菜などが手に入る。更に100mほど行くと弘美堂という和菓子屋がある。

鳩ノ巣駅

かつて駅前にタイムズマートがあったが、今は営業していない。利益が出なくなったのか、人手不足か、閉店の理由は分からない。

ちなみにぎりぎり青梅市である御岳駅前のセブンイレブンは繁盛店だったが、人手不足で閉店したと聞く。

白丸駅

周辺に商店はない。全くのゼロだ。

奥多摩駅

青梅線の終点である奥多摩駅の周辺が奥多摩町の中心地といえ、町内でもっとも商店が集まっている場所だ。さすがに店の数が多いので、とりあえず店名を列挙する。

スーパー小川(スーパー)、一松肉店(精肉)、まるにや肉店(精肉)、魚誠(鮮魚)、本橋青果店(青果)、鈴木電気商店(家電)、若松屋(家電)、タイムズマート佐藤商店(酒屋・コンビニ)、デイリーヤマザキ(コンビニ)、ハラシン(衣料)、ファッションショップもりたや(衣料)、南氷川食糧販売所(食販)、三共堂薬局(処方箋受付)、以上だ。

小さいながら奥多摩唯一のスーパーがここにある。この立地にして個人店なので仕方がないが、生鮮品は取り扱いが少ない。

特筆すべきは、精肉店と電気店、衣料品店にコンビニがそれぞれ2軒ずつある点だろう。これだけ見るとここは都会なんじゃないかという気さえしてくる。いや、これはもう都会だ。今まで田舎ぶっててごめんなさい。

さらに西側に行けば駅から500mほどの場所に井登屋商店という酒とたばこの店があり、それを最後に商店は途絶える。

奥多摩町内には閉めてしまったお店が散見され、事情はそれぞれだろうが、知っている限りでは後継者がいないことによる閉店が多いようだ。

買い物するとき奥多摩からどこまで行くの?

奥多摩最大の繁華街でも揃わないものがあるなんて……!

前述のとおり奥多摩には意外といろいろな店がある。青果店と精肉店がある時点で晩のおかずは揃うはずなのだが、現代風の食卓を彩る多様な食品を手に入れたいと思ったときには何もかもが不足していることを否めない。だから当然、買い物は奥多摩町外に出ることが多くなる。

具体的にはどこまで行くのか。スーパーは、スーパー小川を除けば青梅市のパーク柚木店やエコス吉野店が最寄りとなる。車での所要時間は30分弱だ。だが多様な食品と考えると正直ここでも物足りない。時間がある時は更に10~15分ほどかけ、マルフジ千ヶ瀬店とか河辺駅近くのいなげやまで足を延ばす。往復すると60~90分の道のりだ。それなりに遠い。

とはいえ食品などはまだましだ。すでに気付いている人もいるかもしれないが、奥多摩にはホームセンターがない。これは致命的だ。田舎暮らしゆえにDIYの重要度が高いにも関わらず、その道具や材料を入手できないのだ。

最寄りのホームセンターは青梅市のヤサカ新町店だが、ここはDIY系の店ではなく本格的な板だとかは手に入らない。そういったものを買う場合はカインズホーム青梅インター店まで行くことになり、片道50分もかかってしまう。

大量の材料を購入したときはもっと大変で、自分の車には積みきれないから、カインズのトラックを借りて運搬することになる。材料を自宅へ運んでトラックを返すだけでも2時間かかり、はじめにカインズに行くのと材料を選んで購入するのと最後に帰宅するまでを合わせると、それだけで一日仕事だ。これは大きな足枷だ。

むしろ便利! 通勤途中で何でも買っちゃえ!

ここまで悪い事ばかりを書いてきたが、奥多摩から町外へ通勤している人にとっては大した問題ではない。僕は仕事で八王子まで通っていたから、その行き帰りで大抵のものを購入できていた。通り道にあらゆる店があるのだ。

スーパーなら4軒、ドラッグストアも4軒、コンビニは7軒もあった。一切回り道をせず、純粋な通勤経路上の話だ。ホームセンターもあったし、少し道をそれるとイオンモールに寄ることもできた。

生活に必要なものは仕事のついでに買うのが習慣になっていて、買い物のための移動というものはほとんどしたことがなかった。ただし、朝出かける前に冷蔵庫の中身の確認を忘れてしまい、記憶を頼りに食材を買ったら多すぎたりして無駄にしてしまうこともあった。そのあたりも、家にいる家族とうまく連絡を取り合えばクリアできるだろう。

例えば、会社勤めの旦那さんが仕事を終える頃、必要な買い物の内容を奥さんからメールすればいい。カインズホームのような、そこじゃなきゃダメな買い物でない限り、全く不便ではないのだ。

仕事を続けながら奥多摩に移住したい人は、買い物に関して過剰な不安を感じないでほしい。

ウィンドウショッピングなんて遠い国のおとぎ話

行ってみたいなよその国

日々の買い物に関してはこの通りなのだが、お出かけとしてショッピングそのものを楽しみたい場合はその限りではない。

そういう意味での買い物で気軽に行けるのは日の出町にあるイオンモールくらいだ。気軽と言っても45分かかる。イオンモール以外の場所は絶望的で、例えば電車で立川まで出るとなれば、朝から晩までの小旅行くらいの覚悟をしておいた方がいい。

奥多摩の買い物事情がある程度は伝わっただろうか。基本的には、生活していくのに必要なものは手に入るので心配はいらない。

しかし特別な買い物をしたい場合には遠方まで出向く必要があり、ショッピングが趣味という人にとっては大問題と言える。休日に家族で揃って出かける、サザエさんワールドのデパートのような存在だと考えよう。

と、僕が八王子に通勤していた頃はこのような次第だったのだが、退職して通勤しなくなってからはずいぶんと事情が変わった。

次回の後編では、退職して奥多摩から出ることが少なくなった後、買い物に関する意識がどう変化したのかについて触れようと思う。

Writer

この記事を書いた人

スー

2015年、なんとな~く奥多摩に移住。現在、妻の営む整体サロンの片隅で、電動バイクレンタルショップをこっそり営業中。少年ジャンプと科捜研の女がイキガイのシガナイ中年。

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