Diary

おくたま日記

2019年06月13日

登山好きの僕が奥多摩に移住したら、山への気持ちが変わってきた

奥多摩町は山だ。町の総面積のうち、実に60%近くが山林で、田畑や道路などを除いた宅地面積はわずか0.4%しかない。観光客のほとんどが登山客だと言われているし、僕自身も移住前は登山以外の目的で訪れたことはなかった。

奥多摩と言ったら登山。登山と言ったら奥多摩。美しい山々に抱かれて、僕は今日も登山地図を広げる。

ひとり登山が大好き!

カメラを地面に置いて自撮り

登山の魅力とは何だろうか。大自然に触れる事や素晴らしい景色、登り切った時の達成感、感じることは人ぞれぞれ色々だろうし、一言で言い表せるような単純なものでもない。その中でも敢えてひとつを挙げるとするなら、僕の場合はこれだ。

 

ひとりになれること!

 

街中にいると、周りには常に人の気配がある。例え自宅に一人で過ごしていたとしても、近所の家の生活音や通り過ぎる車の音が、嫌が応にも人の存在を教えてくる。それに比べて山はいい。一度山に入れば周りには誰もいない。10km歩いたら、半径10km以内にいる人間は自分だけなのだ。

ひとりで山を歩いていると山と向き合うことができる。でも山は何も言わないから、結局自分の姿がよく見えてくる。永遠にひとりだったら寂しいけど、時々のひとりは良い。何より圧倒的な自由を味わえるのだ。

歩いて行ける登山口も!奥多摩は登山に超便利

奥多摩町には東西を貫ぬく国道411号線(青梅街道)があり、その他の大きな道路といえば、奥多摩駅から日原鍾乳洞方面へ向かう日原街道と、奥多摩湖から檜原村へ抜ける奥多摩周遊道路のみ。この道路以外は全部山だといっても差し支えない。

つまり、道路からでもお家からでも、うっかり歩いているとすぐに入山してしまうわけだ。実際、僕の家からもほんの少しのアプローチでいきなり山に登り始めることができる。交通機関は使わなくていい。また、奥多摩町内には所々何もない場所に駐車場が作られているが、それらは大抵、登山口の直近にある。車を降りたら2分で登山だ。

登山口が徒歩圏内

都会の賃貸情報を見ていると、駅まで徒歩何分とか、スーパーまで何百メートルとか書いてあるけど、最寄り登山口の情報を書いたら奥多摩は都内最強だ。全ての物件が超好条件になる。と言っても、奥多摩に賃貸物件なんかほぼないんだけど。

ともあれ、奥多摩で暮らしていると登山に非常に便利なのはお分かりいただけたことだろう。朝早くから長時間電車に揺られる必要もないし、山塊に挟まれているために自宅からでも複数の尾根にアプローチできるのだ。

こんなにたくさんある!奥多摩の山々

それではここで、奥多摩の主な山々を紹介しておこう。山に興味のない人にとっては割とどうでもいい情報なので、ダイナミックに読み飛ばしてもらって結構だ。

雲取山

標高2017メートル、東京都の最高峰。スカイツリーの3倍の高さだ。山頂は、東京都、埼玉県、山梨県の都県境で、天気がいい時は富士山や南アルプスまで見渡せる絶景。ルート次第では日帰りも可能だが、テン場を備えた山荘の設備がすごく整っているので、幕営デビューにうってつけ。

七ツ石山

雲取山から奥多摩駅方面へ延びる尾根を石尾根というが、その中で雲取に次ぐ標高の山が七ツ石山。山頂からの眺望も抜群で、雲取へ続く尾根道を見通すことができる。単独でもいい山なんだけど、目の前に雲取があるおかげで中継点扱いされがち。

鷹ノ巣山

これまた石尾根にある山。南面に視界が開け、凄く眺望がいい。北面である稲村岩尾根は奥多摩三大急登に数えられ、景色が変わらないまっすぐで単調な急坂が延々続く修行ルート。山頂直下に避難小屋があるので、小屋泊してご来光を拝むのにおすすめ。

西谷山

東京都最北端に位置している。山塊の奥深くにあり、アプローチが悪い。都内ではもっとも行き難い山。おまけに山頂は木立に囲まれて眺望にも恵まれず、登山ルートとしては人気がない。それだけに、静かな山歩きを好む人にとっては最高の山とも言える。

蕎麦粒山

奥多摩と秩父を隔てる長沢背陵に連なる山々のひとつ。西谷山ほどではないものの、やや奥まった場所になるため登り手は多くない。山頂は狭いながらも眺望が開けているし、山頂直下の自然林は雰囲気が明るく気持ちよく歩くことができる。

川苔山

奥多摩駅の背後にある山。四方からアプローチできるため登りやすい。山頂は開けていて眺望もよく、人気があって季節に関わらず登山者が多い。

御前山

奥多摩三山のひとつで、奥多摩湖のほとりにたたずむ。奥多摩湖畔からのルートは短いながらも急登で、登りがいがある。逆側になる東面のルートは木段が整備されて退屈かつ歩きにくい。山頂は眺望がイマイチだが、西面へ少し下ったところに展望ポイントあり。

大岳山

奥多摩三山のひとつで、眺望抜群の広々とした山頂を持つ美しい山。山頂直下は岩が多く、手ごたえのある山歩きができる。ルートのバリエーションが豊富で、何度でも楽しめる山。御岳山からなら3時間半程度で往復できるので初心者でも安心。

三頭山

檜原都民の森にある山。都民の森からだと90分程で山頂へ至るのでピクニック気分の山だと思われがちだが、奥多摩湖畔から真面目に登るルートは奥多摩三大急登のひとつでウルトラハード。この山頂から始まる笹尾根は高尾山まで続く長大なもので、完全縦走は男のロマン。

奥多摩の山はまだまだあるが、ここでは比較的有名な山に絞って紹介した。あなたも段々山に登りたくなってきたのではないだろうか?

こんな登山がしたい!

みなさんにとっては本当にどうでもいい事だろうが、ここで僕の登山の好みについて話そうと思う。

七ツ石山から雲取山を望む

先ほど、ひとり登山が好きだと言ったが、その理由はひとりになれるからというだけではない。ひとり登山の良いところのもうひとつは、自分勝手なペースで歩けることだ。急ぐも自由、休むも自由。そうすると何ができるかって言うと、自分の限界に挑むことができるのだ。

つまり、自分の限界に挑むような登山が好きと言うこと。必ずしもクリアできるとは限らない、もっと言うと、生きて帰れるとは限らないけど大体帰って来れるギリギリラインを攻めたい。

というと誤解を招きそうだが、エキサイティングなアドベンチャーを求めているわけではなく、日常の中にある葛藤みたいなものから解放されたいのだ。足を動かさないと死ぬっていう状況になれば、歩きたいとか歩きたくないとか、そういう葛藤や後悔が全部スッ飛んで無心になれる。その感覚を味わいたい。

奥多摩に住んでから登山する気にならない

ところが、だ。

奥多摩に移り住んでからというもの、どうにもこうにも山に足が向かない。それ以前は、月1とはいかないまでも、けっこう頻繁に山に入っていたし、いつだって登山がしたくてウズウズしていたものだ。奥多摩への移住が決まった時も、これで登山し放題だ!と思ってワクワクしていた。

それなのに、人間というのは不思議なもので、山が目の前にあるとなると、いつでも行けると思って安心してしまうらしい。結局、以前の僕はないものねだりをしていただけなのだろうか?

そういう感覚って、どうだろうか?奥多摩に暮らしているからといって、山を手に入れたとかいうわけでは全然ない。それなのに安心してるとか、なんだか間違っている様な気がしてならない。果たして僕は山が本当に好きなのか?段々分からなくなってきた。

しかしひとつ言えることは、この問いは、いつでもそれに手が届く場所まで近づいてきたからこそ生じたものだ。遠く離れているうちは思いもよらなかった。さて、恋焦がれて追いかけていた頃とそれに手が届いている今、想いの真贋を問われている。果たしてどちらが幸せなのか?山って奥深いぜ!

ちょっと思ったのは、これってもしかしてベイシアのヨーグルトの逆の話なんじゃあないの?もしかしたらベイシアの隣に住んでたらベイシアのヨーグルト要らなくなったりするのではないだろうか?よく分からないので、取り合えず今週のジャンプをもう1回最初から読むことにする。

Writer

この記事を書いた人

スー

2015年、なんとな~く奥多摩に移住。現在、妻の営む整体サロンの片隅で、電動バイクレンタルショップをこっそり営業中。少年ジャンプと科捜研の女がイキガイのシガナイ中年。

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