2020年06月06日
奥多摩の素敵な仲間たち?お家にいる益虫たちについて知ろう
今、季節は初夏。暖かい日が増えてきて、奥多摩は今、大変過ごしやすくて気持ちがいい。
反面、この時期に現れる大きな問題が奥多摩にはある。虫問題だ。奥多摩は山間部であり、住宅の周辺にも緑が多い。山を背負うか川にせり出すように建つ家屋が少なくない。
山林や川は動物や虫の住みかだ。暖かくなって虫たちが活発に動き始めたら、当然、家の中に侵入されることも増える。虫問題は奥多摩民が悩まされ続ける永遠のテーマなのだ。
なので、もう何度も虫の事をお話ししているにも関わらず、また虫の話を始めてしまった。しつこいと思われるかも知れないが、それだけ身近で重要な問題なのだとご理解いただきたい。
しかしながら今回は今までとは少し違って、嫌な虫の話はしないつもりだ。虫は虫でも、役に立つ虫、益虫の話をしようと思う。
そもそも益虫とは何か
益虫(えきちゅう、英: Beneficial insects)とは、何らかの形で人間の生活に役に立つ、昆虫など小動物のことを指していう言葉である。害虫の反対の意味を持つ。(wikipediaより引用)
ウィキペディアでこう説明されるように、益虫とは人間に利をもたらしてくれる存在だ。益虫の正しい定義を追求しだすとややこしいかも知れないので、今回はその中でも、害虫を捕食する虫、更には、我が家で実際に出会った虫たちに話を限定する。
まずは華々しいラインナップをご覧いただこう。
- テントウムシ
- ゲジゲジ
- ハエトリグモ
- アシダカグモ
- イエユウレイグモ
- ジョロウグモ
うん、大体クモだね……。
そして多くの(都市部に暮らす)方々は、このリストを見ておぞましい気持ちになったかも知れない。これ全部害虫だよと感じた方もいるだろう。
そんな都会の都合とは無関係に、ここからはそれぞれの特徴について解説していきたいと思う。例によってお写真は一切挿入しないので、安心して読み進んでほしい。
なお僕は虫好きでも虫博士でもないので、細かい事は全てネット等で調べながら書いている。田舎で暮らすためには知っておいた方がいい事ばかりなので、一緒に勉強してもらえればと思う。
紹介します! 奥多摩の素敵な仲間たち
トップバッターは都会でもお馴染みのこの子。
テントウムシ
真っ赤な体に黒い星。まんまるつるりんのカワイイ昆虫(色は種類によってまちまち)。
説明するまでもないと思うけど、体長は5mmくらいで、脚が短い。多分、節足ぶりが目立たないのがかわいさの要因ではないだろうか。
肉食の種類と草食の種類がいて、肉食のものが益虫とされているそうだ。かわいいテントウムシの代表と言えるナナホシテントウは肉食だ。アブラムシやカイガラムシを食べてくれるので、庭木や家庭菜園で活躍する。
ただしカワイイのは一匹でいる時だけで、無数に密集しているさまはヤバいグロさ。所詮、虫は虫ということだ。
結論:星を散りばめたカワイイ奴。園芸の強い味方だが、カワイイも数が集まればただの暴力!
ゲジゲジ
続いて登場するのはお馴染みのゲジゲジだ。いや、全然お馴染みじゃないという方もいるかも知れないが、奥多摩ではお馴染みなのだ。
ゲジゲジというのは無数の長い脚をもつ肉食性の動物で、分類的にはムカデの仲間になる。ただ脚の長さや歩行方法などムカデとはまるで似ておらず、毒も弱いし、攻撃性も低く人間を咬むことはほぼない。ちなみにムカデもゲジゲジも虫ではなく「動物」だそうだ。
体長は数センチで、脚まで含めると大人の掌ほどの大きさになるものもいる。無数の長い脚による静歩行は不気味そのもの。なのだが、ゲジゲジは本当にいい奴で、なぜかというと、こいつの狙う獲物がゴキブリだからなのだ。
あの早いゴキブリを、もっと早い歩行で捕獲して食べてくれる。ちなみにムカデもゴキブリを食べるんだけど、ゲジゲジはムカデと違って人を咬まない。優しくて頼れる同居人なのだ。
そもそもゲジゲジは餌を求めて家に入ってくるので、ゲジゲジがいるってことは餌になるゴキブリもいるということだ(違う虫も捕食するよ)。そう考えたらゲジゲジを無下に扱うなどとてもできないのでは?
どうしても気になる場合は、そっと外へ出してあげよう(また入って来るけどね)!
結論:Gより素早い、優しき狩人。仲良くしよう!
ハエトリグモ
お次はこちら、ハエトリグモだ。ハエトリグモは都市部にもいると思うので自宅に住まわせている人も少なくないと思う。
体長10mm程度の小さなクモで、巣は作らず、床や壁を歩き回っている。主な捕食対象はダニやコバエ、ゴキブリの幼虫などだ。俄かには信じられないんだけれど、名前の通りハエをとる。飛んでるハズのハエを、地面を這ってるクモが捕食する。
ハエを狙ってるときは一番前の足を上げて構えて、ピョンと一気に飛びつく。その動きはコミカルで、けっこうカワイイ。クモが苦手でもハエトリグモだけは平気って人も多いのではないだろうか。
他にもダニとか小さな虫をコツコツ捕食してくれるので、各部屋にいてくれると非常に助かる。ただし当たり前だけど、獲物がいなくなればどこかへ行ってしまう。
結論:羽もないのに飛ぶ虫を捕獲!ピョンピョン跳ねる姿はよく見るとカワイイ!
アシダカグモ
お家のクモと言えばやっぱりこの方。アシダカグモは体長30mmくらいの割と大きいクモ。脚を含めると10cmを越えてくるので結構インパクトがある。
アシダカグモについてはご存じの方が多いかと思うが、俗に「軍曹」と呼ばれるあのクモである。
アシダカグモは、ゲジゲジと同じようにゴキブリを食べる。他にハエや、なんとネズミまで捕食するらしい。
あーちょっと待って。今調べて初めて知ったんだけど、えーネズミ食べるの?クモが哺乳類捕食するのはさすがにちょっと、かなりグロいっていうかコワいっていうか、なんかヤダ……。
ともかく、アシダカグモはゴキブリを捕食する。かなり徹底的にやってくれるらしくて、アシダカグモが二匹いれば、半年でゴキブリを全滅させると言われている。ゴキブリがいなくなれば、次の獲物を求めて旅立っていく。とってもとってもグロいんだけど、お家に現れたら歓迎すべきだ。
マジメな話、ゴキブリは衛生害虫。病気を媒介することもある。一方アシダカグモはきれい好きで、獲物を溶かすための胃酸を使って手指の消毒に努めている。見た目がグロいだけだから、間違っても殺してはならないよ。グロいけど。
結論:天下無敵のグロさ。そこにシビれる!憧れるゥ!
イエユウレイグモ
これ調べてたら出てきて、何それ?ってなったんだけど、家の中で巣を張ってる茶色っぽい細っこいあのクモがこういう名前らしい。よく分からないけど日本の家の中にいる巣を張るクモはこれが多いらしいのできっとそうなんだ。
このクモもダニやコバエなどの小さな虫を捕食する。ただし巣を張るので、部屋の中にクモの巣はちょっとアレなので、完全な益虫とは言えないかも知れない。
我が家では、階段の上の方の天井とか、どっか隅っこの方ならいい事にして、多少のクモの巣はほったらかしにしている。決して、お掃除サボってるわけじゃないのよ。
小さい羽虫みたいなのをとってくれるありがたい存在なので、剥き出しの梁の上とかの人が通らない空間には是非とも巣を残しておいて欲しい。古い家だと逆に絵的にもカッコイイと思う。
結論:そういう名前だったんだ?造網は端っこにして!
ジョロウグモ
体長2~3cm。腹部と脚が黄色のシマシマ、よく見るありふれたでっかいクモ。巣を張る種類で、巣の大きさは1メートル以上になる。
巣に掛かった昆虫などを捕食するけれど、ウィキペディアによるとセミやスズメバチまで食べるらしい。オゾゾー。
このクモは本体も巣も大きいので屋内にいたらちょっとアレだけど、庭木に居てくれると心強い。飛んでくる虫の侵入を防いでくれるのだから。
我が家の場合は、玄関などの通り道に巣がある場合だけ取り除き、しかし駆除はせず、他の場所の場合は放置している。
ちょっぴり似ている種類にコガネグモというのがいるらしいが、僕は見たことがないか、見てもジョロウグモと混同していたと思う。見分けられる自信もないし、必要性を感じないので、これからも混同して生きていこうと思う。
余談だけれど、大沢の集落を散歩した時に地域のご老人に聞いた話によれば、昔はジョロウグモなんていなかった、とのこと。釣り人が持ち込んだんだ、とも。真偽は不明だし、昔っていつのことかも分かりませんが。
考えようによっては益虫だけど僕は駆除するやつ
最後に、益虫ともいえるけど害虫ともいえる、僕が駆除対象としている虫についてもお話ししておく。
ムカデ
まずはムカデ。奥多摩で虫の話になると必ず登場する、絶対恐怖対象。
前述の通りムカデはゴキブリなどの小型昆虫を捕食する。それだけならありがたい存在なんだけど、この方は人間にも咬みつく。毒もそこそこ強くて、まだ咬まれたことはないけど、かなり痛くてかなり腫れるらしい。死亡例もある。
とっても恐ろしいので、さすがに益虫とは呼ぶ気になれない。
アシナガバチ
もうひとつ。アシナガバチも、割とよく見かける。
アシナガバチはスズメバチを一回り小さくしたようなハチで、スズメバチ程ではないけど攻撃性もある。とはいえ人間からちょっかいを出さなければ刺されることは稀らしい。毒の強さはほどほどで、死ぬこともある。
蛾の幼虫なんかを主に食べるので、農業的には益虫らしい。なので飛んでてもあまり気にしないのだけど、家の軒下とかに営巣されるとさすがに危険なのでその場合のみ駆除する。
田舎では虫と共存しなきゃいけない
色々な虫を紹介したけれど、どう感じただろうか。正直、クモやらゲジやらの画像を眺めながらその解説を書いているうちに、ちょっとおぞましい気分に襲われた。写真やら生態の情報やらをじっくり見るのはよくない気がする。
今回紹介した虫たちは、みんな害虫を捕食する。特に衛生害虫を食べてくれる虫たちは貴重だ。田舎なので、色んな小さい虫が家に入って来るが、それをいちいち殺虫剤で殺すのは、何か嫌じゃないか。せっかく清廉な環境で暮らしているのに無暗に神経毒をふり撒きたくない。時々ならいいけど、虫が入って来るのは時々じゃないんだもん。
そう考えると、多少グロテスクであっても、害のない捕食者たちの存在は心強くないだろうか。勝手に、日常的に、害虫退治に勤しんでくれるんだから。
さあさあ! ゲジやクモと仲良くなりたい人は奥多摩へいらっしゃい!
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